夜空と陸とのすきま

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謎のアジア納豆 そして帰ってきた<日本納豆>/高野秀行

謎のアジア納豆: そして帰ってきた〈日本納豆〉

西日本海沿いの私の生家では、納豆が食卓に出ることは珍しく、祖母は絶対納豆を食べなかったし、給食に出る極小粒少量パックが納豆とのファーストコンタクトだったりしたけれど、まあ嫁いだ先の北国の納豆へのこだわりようったらびっくりで、正月は必ず納豆汁に納豆餅、普段から納豆ラーメンと色々食べるし、スーパーの納豆売り場も面積が広くて種類が豊富。

そんな納豆は日本人(の東日本)だけが食べてるかと思いきや、高野さんの本でアジア山岳地帯も、韓国も、アフリカにだって納豆はあるし、種類も食べ方も保存法もずっとずっと多彩と知る。

高野さんはアジア山岳地帯のアジア納豆の取材を始まりに、様々な国の納豆食文化を渡り歩き、さらに日本に帰ってから自分でも納豆を作ったりします。藁じゃなくても納豆はできるとは目から鱗。そしてどの国の民族も、うちの納豆が一番美味いと言い張る「手前納豆」も面白い。

今私が住んでいる地域は、この本で「つい最近まで日本でも相当な僻地だった」と書かれていました。ほんま内陸のガラパゴスだなと思うことが多いので(特に食生活)妙に納得。だからこそ納豆食文化が生まれ、発展していったのね。

納豆は人の輪に入ると輝く。なぜなら、納豆の周りにできる輪は、いつも必ず家族、親戚、近所や地域の人々だからだ。気の置けない人同士が共有する食べ物、それが納豆なのである。