「精霊熊」「罪食い熊」「サーカスの熊」「下水熊」など8つの奇妙な熊の物語。
訳者あとがきによると、イギリスにもともといた野生の熊は、食料や毛皮の原材料や娯楽のために乱獲されてしまったため、11世紀にはグレートブリテン島からは絶滅してしまったらしい。他にも狩猟によって猪、狼、キツネなども絶滅したり絶滅危惧種に追い込んだり。あまりにも動物を駆逐したため、天敵がいなくなったウサギが大繁殖して草木を食い荒らし、木が生えなくなったとも。
どれだけイギリス人が罪深いかを説いた訳者あとがきを読んでから本文を読むと、これは熊に対する贖罪の物語なんだなと思う。最終章ではえっちらおっちらブリテン島から船にのって逃げていく熊たち。新しい大地で自由に生きていてほしいとの願いも感じられた。
「サーカスの熊」の物語の中で、足の速い人のことを“韋駄天”と表現してて、思わずニヤける。イギリスといえば「指輪物語」で、韋駄天アラゴルンだよね〜。
デイヴィッド・ロバーツの挿絵がシュールで良かったです。
この本を読んでいる最中は、BOSSラテベースを2本購入でお一つプレゼント!でゲットしたKLIPPANのマグカップが相棒でした。熊はあんなに恐ろしいのに、アイコンにするとなんて愛らしい。不思議な動物。