ひたすら積ん読がたまっていく本棚から、イヴ繋がりでベスター傑作選をチョイス。あとがきにある「絶版となっている河出書房新社〈奇想コレクション〉の『願い星、叶い星』を改題して、新たに出版」を読んでふと見上げると、同じ本棚にその奇想コレクション版があるし。ダブった…、やっちまった。再版の情報をよく調べて買いましょうね↗︎
さて、色々とSF小説を読んできたなかで、アルフレッド・ベスターと、バリントン・J・ベイリーの2人の作風はかなりクレイジーという印象。ベスターの『ゴーレム100乗』は疲労困憊して読んだ記憶があり、『虎よ、虎よ!』もワイルドすぎる。あのベスターだぜっ!と気合い入れて読み始めたけれど、この短編集は初期の作品が多く、クレイジー度はそうでもなかった。SFの定型をひねった感じ、意地悪してみた感じ。天邪鬼やなぁーと思いつつ、どれも落とし所が上手かったです。全部じゃないけど、印象深い作品の感想。
「ごきげん目盛り」
遺産を無くしたボンボンと、稀少価値の高いアンドロイドの宇宙逃避行。私はわたし、一人称がごっちゃになって誰だかわからなくなるサイコホラー。狂ってますなー。
「願い星、叶い星」
〈恐るべき子供たち〉という一時期流行ったジャンルがあるんですね。超能力を持つ子供たちみんなの目がピカッーって光ってるイメージ、もしくは白目ね。
「イヴのいないアダム」
地球最後の男の話。旧エヴァンゲリオンのラストがこれなら良かったのにー。シンジくん幸せだったのにー。
「選り好みなし」
なんでも異世界に転生する昨今のブームへの、強烈なツッコミになる話。
「昔を今になすよしもがな」
「地球最後の男女を頭のイカれた人間にして、その狂った目を通して世界をながめれば面白いかもしれないと考えた(ベスター談)」その通り、かなり面白いっす。廃墟のN.Y、セントラルパークの模型船陳列館に住む!芝生を家庭菜園にして、N.Y中の家具や雑貨を物色する毎日、オシャレだ。
「地獄は永遠に」
第4部まである地獄絵図の物語。解説によると、「全体に世紀末デカダン派の影響が見られ、第一部にはユイスマンの「さかしま」がこだましているが、第四部はジェイムズ・ブランチ・キャベルの影響かもしれない」
デカダン派もユイスマンもキャベルもわからない…『さかしま』は渋澤 龍彦が訳したので持っていたけれど読まずに手放した。〜の影響だねって言える知識と教養をみにつけたいです…。