夜空と陸とのすきま

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ユービック/フィリップ・K・ディック

ユービック

ディック作品の中でも傑作と名高い「UBIK」。
予知能力(プレコグ)、読心能力者(テレパス)、覗き屋(テイープ)、念力移動屋(パラキネテイスト)、死体蘇生屋(リサレクター)、物体賦活屋(アニメーター)とわんさか超能力者(しかも衣装が奇抜でキャラ立ちしてる)が登場して月面に集結し、幻魔大戦でも始めるのかと思いきや、爆弾が破裂して半数のキャラ死すという前半から、がらっと変わってあらゆる物が退化する世界からの脱出劇となる後半。先が読めないので、ディック暴走車に乗るがまま終着点に連れていかれる感じ。いやいやサスペンスフルで面白かったです、ジョーよく頑張ったよ!

半死者と話せる安息所など、死ぬに死にきれないディストピア。世界の退化をくい止めるのはユービックスプレー缶でプシュー!などの設定も面白いのですが、一番印象的だったのは、家電や部屋のオートロックまで小銭(チップ)を要求する未来都市。そんでもって主人公がジョー・チップという名前だったりで皮肉だ。なにかとお金にこだわったお話でしたね。

かなり前に古本屋で購入したので、表紙絵は今のスタイリッシュなユービック缶(これはこれでかっこいい)でなく、異空間に謎の男がいる不思議な絵(渡部 隆氏作画)のやつでしたが、読み終えた後に意味がわかるという素晴らしい表紙絵だなあと思います。こっちの方が好き。

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