夜空と陸とのすきま

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空間亀裂/フィリップ・K・ディック

空間亀裂 (創元SF文庫)

 

西暦2080年、地球は人口爆発に陥り、史上初の黒人大統領候補ブリスキンは惑星植民計画の再開を宣言するが…というお話。

ディック60年代玉石混淆の「石」の方も大体読み進みました。巻末の解説で「十段階で二点」って、もう何回見たことか。いいの、それでも読むんだもん。

今回は、主人公が黒人の大統領候補とめずらしい設定で、オバマ前大統領を彷彿させてくれます。そして愛人、離婚、売春婦、と色っぽいお姉様がたくさん出てくるので、私生活で一体何があったんだディックって感じ。(その辺は解説に詳しく載ってました)

ディック作品の「石」の方は、積み重ねた積木(設定)をガッと壊して、ふらふらになりながらも無事完成又は、丁寧に積み重ねていって突然終わるパターンかのどちらかだと思うのですが、今回は後記の方。クライマックスはページが足りなかったのか、とても早すぎて理解が追いつかなかったです。

好きだったエピソードは、高名な医者の裁判沙汰のために医者の愛人を世間が探していたころ、修理工が医者のマシーンに亀裂を偶然見つけて、亀裂の中は別世界(パラレルワールドみたいな)で、愛人はそこに隠れていたというところ。

愛人を異空間に隠す!という発想。なかったわー。