夜空と陸とのすきま

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この世界の片隅に

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原作者のこうの史代さんが大好きで、ほぼ全作持っています。この原作の上巻が出た2007年は「夕凪の街 桜の国」が実写映画になって、「夕凪の街 桜の国」も良かったけれど、さらに上をゆくどえらい漫画が出たと衝撃を受けた覚えがあります。でものちにアニメ映画化〜ここまでの大ヒットの未来があるなんて予想できなかったなぁ。(テレビドラマ版がトラウマとなっていて、正直期待していませんでした…)アニメだからこそ表現できた本当に素晴らしい映像化です。正月明けに娘と観に行ってきました。

あらすじは省略して感想だけを。

映画は遊女リンさんとリンドウのお茶碗、さらに口紅の元の持ち主との関わりを省略していたのが残念だったのですが、「とんとん とんからりと 隣組」の歌がコトリンゴで聞けて満足。私は「ドリフの大爆笑の歌」でこの曲の旋律を覚えたけれど、戦争を体験した祖父母はどんな気持ちで、孫と一緒にドリフを見ていたのだろうと気になりました。戦時の隣組の集まりや配給など思い出したりしていたのだろうか。もう他界していないのですが、もっと戦中の話を聞いておけば良かった。

あと原作にはないセリフで、畑で晴美ちゃんと敵襲に遭遇し、機銃掃射が始まる直前にすずさんのナレーションで「不謹慎かもしれんけど、私はこの時美しいと思った。ここに絵筆があれば良かったのに」(セリフうろ覚えだけど、そんな内容)と言ったのが、とても印象的でした。それは映画を観ていた私も、そのシーンが綺麗だと見とれたので。この焼き尽くす炎は、されど美しいという矛盾した感じ。

本当にこの映画の空襲と機銃掃射の着弾シーンはリアルで怖いですね。小学生の娘も原作を読んでましたが、映画は空襲がすごかった怖かったと言っていて、かなりインパクトがあったようです。

日常が戦争により少しずつ壊れていく、さっきまで笑っていた人がいなくなる、昼夜問わずの空襲にだんだん無気力になる、映画を見終えた後は、祖父母は大変な時代を生き抜いたんだなと思わずにはいられませんでした。