夜空と陸とのすきま

SF好き SF小説1000本ノックを目指しています

タイタンのゲーム・プレーヤー/フィリップ・K・ディック

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ヴァグと呼ばれるタイタン星生物との戦いに敗れ、ヴァグに支配された地球人類。戦争により人口が激減し、さらに化学兵器の影響で極端に出生率が低下。一部の特権階級の人のみヴァグが持ち込んだ<ゲーム>で自分たちの土地を賭けたプレイに興じている…というSF。

<ゲーム>とはモノポリー+ポーカーみたいな双六。「オレのカリフォルニア州バークレーが奪われた!」と初っぱなでゲームの敗者となった主人公が、ゲームのリベンジ戦に持ち込んだら、突如ゲーム相手が誰かに殺されていた、そしてゲーム仲間の記憶がないとか急にミステリー仕立てに。とにかくコロコロ話が変わっていくので、まるで終着点が予想できません。というのも、当時浪費家の妻と幼い娘がいて、家計が火の車状態だったディックが、生活のために二束三文で書き殴った小説だからだそうで。そらしょうがないわな。

でも練りにねった大作や秀作もいいけれど、この「こっから先どーすんだ」小説も、ディックの場合はなんだかんだ云って力業で、最終的にはつじつまを合わせてくるので面白かったりする。あと惜しみなくつっこんでくるガジェットも楽しい。

今回は、ラシュモア効果という、人工知能で操作してくれておしゃべりする車とエレベーターが好きでした。

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