夜空と陸とのすきま

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火星の人[新版]上・下/アンディー・ウィアー

 

火星の人〔新版〕(上) (ハヤカワ文庫SF)

火星の人〔新版〕(上) (ハヤカワ文庫SF)

 

  映画「オデッセイ」の原作。

原作はサバイバルがもっと細かい描写で、ワトニーが始終計算しながら試行錯誤をしている様子が面白い。でも文章だけではローバー(探索機)やハブ(居住)がイメージ想像しづらいので、そこは映画の映像が助けてくれてました。これは映画と原作両方が楽しめる素晴らしい作品だ!

思えば自分は小学生の頃に「十五少年漂流記」「ロビンソン・クルーソー」「コンチキ号漂流記」と漂流物が大好きだったよ。私のツボにはまってるんだな。

映画で火星から地球とようやく交信が繋がったときに、全世界中に公開されている最中、ワトニーがチャットで打った内容が映像では映しだされなくて、「あまりにも下品!」「彼はストレスが溜まっているのです」とあきれた表情をする人びとだけをカメラがとらえて、最後までチャット内容がわからなくてあのシーンはモヤモヤしたのですが、原作で出てきました!これだったのか。

[12:04]JPL:追伸:発言には気をつけてほしい。きみが打ちこんだ内容は全世界に生中継されている。
[12:15]ワトニー:見て見て!おっぱい! -> (.Y.) 

しょうもなさすぎて吹きました。いいじゃんね、おっぱいぐらい。スラング放送禁止用語を連発しているのかと思ったよ。

映画でしか出てこないシーンもあり、その理由がわかりました。初っぱなでワトニーが自分でお腹を手術するシーンがやたら長いのは、リドリー・スコット監督だからと確信。傷口からエイリアンが出てきて別の映画になりそうなくらい長くしつこい描写でした。本当にお腹切るの好きだね。あと原作下巻のアレス4MAVまでの旅の行程をざっくり削った代わりに、丁寧にひげを剃るシーンがあるのだなとか。映画の余韻に浸れながら読めて良かった。

デビット・ボウイの「Starman」を聞くと、火星の荒野を思い出しそうです。


David Bowie - Starman (1972) HD 0815007