夜空と陸とのすきま

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パーキー・パットの日々 ディック傑作集1/フィリップ・K・ディック

 

 

 

2015年はSFを読むぞ!と決めて、今までに買いだめしたディックを初期作品から読んできましたが、まだ初期の短編集から脱せず。しかもSF本紹介サイトや書評を見て回り、早川&創元がわんさかある古書店に行ったりで、さらに本棚に蔵書が増えていき…。どうすんだ私。読まずに死ねるかと腹を括って今年も読みます。ええ、読みますとも。今日も「火星のタイムスリップ」を買っちゃった。あやうく「早川SF総解説2000」にまで手を出しそうになり、必死で自分を食い止めました。宇宙英雄ローダン・シリーズだけはダメだ、500巻だ。

さて、10篇からなるこの短編集。

面白い!と唸ったのは「変種第二号」誰が敵かとミステリアスな謎を最後まで読ませてくれました。これは(珍しく)よく出来てる短編だなあと思ったら「スクリーマーズ」の題名で映画化されたとか。しかもダメダメだったとか。あー(^_^;)ザンネン

「報酬」
映画「ペイチェック」の原作。映画の方はまだ未見、これは今度見てみよう。

「にせもの」
オチがタイトルまんまなので、予想どおりでしたが強烈でした。主人公の絶望した顔が想像できて、いやはやなんとも。「クローン」の題名で映画化してるらしい。

そして表題作の「パーキー・パットの日々」
退廃した世界で生き残った人々が、バービー人形+箱庭+モノポリーが合体したようなゲームに夢中になる話。今で言うSIMSとかアメーバーピグライフ、シムシティみたいなゲームっぽい。延々とゲームの細部にこだわる描写に、ディックがトリップして何か降りてきていたとしか思えない。最後までよくわからない話でしたが、まあポジティブなオチ…なのかな。

最後の「フォースタ、おまえ、死んでるところだぞ」
強烈なタイトルですが、核戦争に怯えてシェルターを買う人々の話です。

買わなければわれわれは死ぬんだ。なにかを売りつける方法は買手の心に不安を植えつけることだ、それが売る側の常道だ。

現代の投資詐欺、あやしい新興宗教なんかに通じるテーマ。 シェルターを取り上げられた少年がせつない。