夜空と陸とのすきま

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地図にない町 ディック幻想短編集/フィリップ・K・ディック

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ディック初期短編集。初期はアイデア勝負で量産していった短編ですが、どれもピリリと辛さがきいていて面白い。ちょっとブラットベリのブラックさを彷彿とさせる。1950年代の冷戦・核戦争・第3次世界大戦への恐怖が影響されている作品が多く感じられ、特に朝起きたら核大戦まっただ中の未来に家ごとタイムスリップしていた『薄明の朝食』が強烈でした。これが一番ドキドキした。ディックは最後までドキドキ感が続いて強引にでも読ませるところがいいね。

『おもちゃの戦争』はまんまトイ・ストーリーで、『超能力者』はタイム・ループもの、『ありえざる星』は猿の惑星?ひょっとしてこれが元ネタなのかなぁ。

どれも短くてすぐ読めるので、かばんにしのばせて移動中に読んでいました。古書で買った絶版本ですが、面白いのでぜひ復刊してほしいな。