夜空と陸とのすきま

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体の贈り物/レベッカ・ブラウン

 

 

体の贈り物 (新潮文庫)

体の贈り物 (新潮文庫)

 

 

古書店で購入。積ん読消化

重い病の患者のホーム・ワーカーの語り口で、死に向かう彼らとの日常をつづる連作小説。

読み進めていくと末期エイズ患者の支援だとわかるが、重苦しさや感動的な言葉もなく、淡々と患者と接する日常が描かれます。至近距離で接することにより、患者の汗、涙、肌を贈り物として感じ、死にゆく者との距離感がせつなかったです。

また「動きの贈り物」は爽快な気持ちになるラストで本当に素晴らしかった。

最後の「悼みの贈り物」で、死にゆくコニーの言葉

「誰かに腹を立てたままとか、誤解を抱えたままとかで死んでいくのって嫌よね。生き残った人はうしろめたい思いをさせられるし、そうなると死んだ人を想って悲しむのは難しいもの。悲しみって必要なのよ。悼むってことができなくちゃいけないのよ」

そして家族に見守られながら息をひきとってゆく。悼みが必要というのは心からそう思う。

読み終えた後に、じつはエイズについてほとんど知らない自分に気がつき、ネットで末期症状など調べてみたのですが、なんと痛々しい。こんなにぼろぼろになって亡くなっていくとは…。