夜空と陸とのすきま

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分解された男/アルフレッド・ベスター

分解された男 (創元SF文庫)

24世紀、王国物産の社長ベン・ライクの犯した殺人事件をエスパー刑事が追うサイキックミステリーSF。

2017年にハヤカワ文庫から出た新訳版『破壊された男』(伊藤典夫訳)の方が読みやすいのは確実。今回読んだ古い方になる創元SF文庫版(沼沢洽治訳、って全部さんずい!)は、訳が本当に古くさい。江戸川乱歩の少年探偵団みたいな言い回しでスゴイなと思う。どしゃ降り之助とか、けっこう毛だらけなど表現が昭和の漫談なので、ずっと渥美清の声で脳内再生。

『虎よ、虎よ』もそうですが、ベスター作品の主人公はみんな野獣のように咆哮し、とにかく暴れ回ります。そんな主人公には全く感情移入できないけれど、事件解決に奔走するエスパー刑事は、強く人に優しくて良かった。ベンはいつ分解されるのか、ミステリアスな「顔のない男」とは誰なのか?最後まで引き込まれました。(多分、新訳版の方がテンポいいはず)

 

社会に反抗するだけの度胸と才能があるような人物は、かならず平均以上の人間にきまっている。そういう人間は、とっとかなくては。間違ってるところは治してやり、プラスの値うちを持った人間に変えてやる。なぜ無駄にしたりするんですか?そんなことばかりやってると、世の中は羊みたいな、ことなかれ主義の連中ばかりになっちまう。

 

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