夜空と陸とのすきま

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スチーム・ガール/エリザベス・ベア

スチーム・ガール (創元SF文庫)

蒸気歩行機械が行き交うアラスカの港町。高級娼館勤めのカレンは、逃亡者のインド人少女プリヤを悪の権力者から守れるのかというお話。

スチーム・パンクSFで百合SF。伊藤計劃『ハーモニー』以来、久々に百合SFものを読んだのであります。スチーム・パンクSFと謳うほど蒸気機械の活躍は少なくて期待はずれ、地味にまとまった感はあり。カレンの日記という設定で物語が書かれているので、一人称らしい思い込みや勘違いなどなどは面白かったけど、「一体このバトル中に何が起こっているんだ」とわからなくなることも多くて困惑。

連続殺人事件を追う副保安官とネイティブアメリカンの民警、くノ一のように飛び回る謎の中国人女性、解放奴隷、オネエキャラとマイノリティがいざ集結!には胸が高鳴る。そしてディーゼルエンジン+蒸気駆動の甲冑ミシンに乗り込み、炎の中に飛び込んでいくカレン。ミシンがパワードスーツってどーゆうことやねん⁈工場にある縫製機みたいなんかなと想像力が限界なので、誰かデザインしてください。

娼館の部屋も狭く、ミシン内部も窮屈で、最後に出てきた潜水艇も閉鎖的空間。狭い狭い圧迫感と不衛生な感じが続くので、最後の大団円だけでもさっぱりしてくれて良かったです。