夜空と陸とのすきま

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11 eleven / 津原泰水

11 eleven (河出文庫)

津原氏と百田尚樹のバトルから、幻冬舎社長による実売数公表騒動に発展するまでの流れはずっとTwitterで追いかけていて、津原氏と早川書房編集部を応援したくて、本屋に走り『ヒッキーヒッキーシェイク』の文庫を買いました。この騒動の中でも津原氏のツイートは決して感情的にならず始終冷静で、(「炎上してるからこの騒動にのってみんな宣伝して、というか宣伝しなさい!恩を返したい」という感じのツイートには笑った)いやはやすごい作家さんだなと感心し、名作名高い「五色の舟」が収録されている短編集『11 eleven』を読んでみました。

表紙は四谷シモン氏。単行本は裏にも11枚の人形の写真が載っています。イレブンってヘブンみたいと思ったのが第一印象。

生と死とあの世の境、人形の目のガラス玉のような、うーん自分の乏しい語彙力では上手く表現できないけれど、ぞっとするほど怖いけど魅了される死についての物語が多かったです。思わず音読したくなる言葉のリズムも心地よかった。

うわーそれで終わるの怖っ!というホラー『追ってくる少年』と『クラーケン』。おいおい火星かよのSF『テルミン嬢』、どれも余韻が残る、それも怖かったりほっこりしたり。なんと引き出しの多い作家さんでしょう。日本版フリークショーのお話『五色の舟』は土肝を抜かれました。近藤ようこさんの漫画版読まねばっ