夜空と陸とのすきま

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世界の終わりの天文台/リリー・ブルックス=ダルトン

世界の終わりの天文台 (創元海外SF叢書)

「戦争が始まるらしい…」という噂を最後に総人類の気配が消え、北極圏に一人取り残された老天文学者と、木星探査機で宇宙にいるクルー達のセクションが交互に進むお話。

天文学者の元にはなぜか少女が現れ、共に厳寒の地で生活を始める。一方、木星から地球に帰還中のクルーは、地球と音信不通になり焦る日々。

人類はどうなったのかなど説明は一切無く、とにかく淡々と進む静かな物語。

特に北極圏の方はツンドラや猛吹雪の描写に、まさに今の雪国の様子とかぶって、人生を達観し反省し最後を迎える老人と、雪にはしゃぐ少女との穏やかな日常をいつまでも読んでいたい気持ちになり、木星探査機の方はイライラして、絶望感が辛そうで早くこのセクション終われ〜と読み飛ばしそうになりました。

宇宙にいるクルーが読んでいた本、クラークの『幼年期の終わり』やル・グウィン『闇の左手』が、「元ネタはこれだからねっ」ということなのか。

極寒の冬に読むのをオススメです。熊好きの人にも。

 

あと、あまりにも物語が進まないので、途中でモヤモヤしてきて解説とあとがきを先に読んだら、思いっきりネタバレでした。いやたいしたことじゃないんだけど。