夜空と陸とのすきま

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2001年宇宙の旅/アーサー・C・クラーク

2001年宇宙の旅 (1977年) (ハヤカワ文庫―SF)

古書で購入したので、今出ている「決定版」ではないほう。昭和54年第14版で320円、安い!この40年で文庫本は3倍の価格になったんだな、と遠い目。

アーサー・C・クラークといえば、該博な科学知識に基づいてSF世界を構築する第一人者なので、とってもわかりやすく、驚くほど読みやすかったです。あの映画でキューブリック監督がわざと削ったナレーションもセリフも大事なシーンも全部書いてある。もうこれを読めばいいじゃない〜っていうか、これを読まずして解説してた方がびっくりですよ→当時の映画解説者。

映画版と違うところもいくつかありますが、まずHALコンピュータがタメ口をたたくのって全然イメージが違うんだけど、それでも「デイジー・デイジー」と歌いながら停止していくところはせつない。

あと気になったのが、暴走したHALを停止してから、ボーマン船長が極秘指令のビデオを見るところで、

さらに、われわれの歴史がいくたびも証明しているように、原始民族が高度の文明と接触して滅びた例もかなり知られている。人類学者たちは“カルチュラル・ショック”ちいう言葉を使っているが、われわれ人類もそのようなショックに対する心構えをつけておかねばならいかもしれない。

 とフロイド博士がビデオで語るのですが、この伏線だと、ラストに超人類のスター・チャイルドとなったボーマン船長は、地球まで戻ってきて核ミサイルで地球を滅ぼしたことになりそうなんだけど、本当は核ミサイルから地球を救ったのかが最終ページの文面から判断しづらかったです。でも救わないと後の「2010」の話に続かないから、きっと救ってくれたんだろうな。