南北戦争の物語を書き綴る作家の資料調査助手ジェフは、あるレセプションで旧友の彼女であるアニーと出会う。精神が不安定なアニーは毎晩奇妙な夢に悩まされていた。その夢は南北戦争の光景の中で、誰かと対話しているのだ。アニーの夢の謎を解くために2人は古戦場跡を旅するが…という歴史SF。
コニー・ウィリス初期の小説で現在は絶版のところを古書店で入手。でも、私が小学生の頃からつけている(変態の自覚あり)読書記録によると、高校生の時に図書館で借りて読んでいたようだ。えー全然覚えてない。記録してても感想なしだとホントに忘れますね。
「リンカーンの夢」とは不思議な夢、予知夢という意味合いで使っていて、実際に作中でアニーが見る夢は過去にリンカーンと敵対した南軍のリー将軍がみている夢。その夢は大事な人や多くの兵を救えなかった後悔ばかり。敗戦の将とくると、日露戦争の乃木将軍や西南戦争の西郷どんをイメージしながら読みました。これはアメリカ版「耳なし芳一」だな!
メンヘラなアニーを押し倒したいのに我慢して最後まで紳士的なジェフ。切ないラストまで読むと、今までセクションの最初に出てきた南北戦争の話が伏線だと気がつき、読み返していきたくなります。
現在のアメリカでは、リー将軍の銅像が黒人差別や奴隷時代の象徴として、撤去運動が起こるなど揉めているニュースを聞いたので、「リンカーンの夢」はいい話なんだけど…複雑な気持ちになりました。