夜空と陸とのすきま

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刺青の男/レイ・ブラットベリ

刺青の男

旅行中に私が出会った刺青の男。彼の全身には見事な18の刺青が彫ってあり、夜の月明かりの中、刺青の絵は動きだし18の物語を演じ始める…というプロローグからなる18の短篇集です。

せつなくも美しい名作「万華鏡」。以前、たまたま流れ星を見かけたのですが、「万華鏡」を読んだらもう星々が輝くイメージがぶわぁとひろがって、あの流れ星を思い出すと泣けてきますね。実写にすると痛々しいというか、グロくなりそうだけど。

18の物語はとても詩的に美しく、かつ”死”に満ちていている話が多く、子供達は無邪気でとても残酷で、ブラッドベリのダークサイドを垣間見るようです。

早川書房が76年に発行した絶版の文庫版を読んだのですが、古書店で購入したらえらい安くて、その理由は16話目の「町」に、鉛筆線と書き込みが多数あったから。前の持ち主さん「復讐は徹底的におこなわれるだろう。」の文章に(地球の滅亡)と描き込んでいる。なんかレポートか感想文でも書いたのかなぁ。「町」も怖い話だったけど、なぜこれを選んだんだろうと無性に気になりました。こういう出会いも古本ならでは。