夜空と陸とのすきま

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霧に橋を架ける/キジ・ジョンスン

霧に橋を架ける (創元SF文庫)

図書館で単行本の方を借りて読む。分厚い本をじっくり読みたいところだけど、まだまだ仕事が落ち着かないので、色々と賞を受賞している短篇集ならと手に取りました。ところがどっこい、読んでいて目がすべるすべる…。最後まで読んで、もう一度読み直して初めてストーリーが入ってくるという、著者の文章が合わないのか、自分の脳が疲れているのか(もちろんオイラの脳がポンコツなのさっ)

キジ・ジョンスン、お初のSF作家でしたがクールというか、巻末解説にある「読者をチクリとやる蜂」という表現がまさにぴったり。人間のエゴを突きつけられて、後味が悪い話が多かったです。現代アート束芋会田誠の作品が思い浮かびました。

 

印象的だった短編の感想

 

*26モンキーズ、そして時の裂け目

1ドルで26匹の猿を譲り受け、ツアーバスで各地のサーカスを渡り歩き、猿が消えるマジックショーを続ける女性の話。世界は奇妙なことで満ちている。説明のつかないことで。さばさばした感じがとても好き。

 

*スパー

エイリアンと宇宙で延々交わるだけの話。衝撃作ということで、ネット上では大分物議をかもしたようですが、早く終わらないかなーと冷めた視線で読んでいた自分に驚く。

 

*水の名前

工学部を落第しかかっている女子大生、ある日かかってきた電話から未来に繋がるヒントを受け取る話。短いけれど、水の波紋から宇宙へとイメージが膨らんでいき感動しました。

 

*ポニー

プリキュアやサンリオみたいな、ピンクでふわふわでかわいい世界観をエグくグロく描く感じ。イラストなどではよく見かけますが、なるほど、文章にするとこうなるのか、ふむふむ。