夜空と陸とのすきま

SF好き SF小説1000本ノックを目指しています

最後から二番目の真実/フィリップ・K・ディック

 

 

 

 第三次世界大戦下、核戦争から地下に逃れた人びとは、戦闘用ロボットの生産を続けていた。しかし本当は15年前に戦争は終わっていて、一部の特権階級が地上を支配し、地下の民へは情報操作によって偽りの真実が伝えられていたのだった…という話。

f:id:yanhao:20160608150454j:plain

地下民が重労働で戦闘ロボットを量産しているのに、地上民は適当な情報を作って地下に放送しつつ優雅な生活。映画「アンダーグラウンド」を彷彿させるディストピアです。久々に漫画にしたらやっぱり描くの楽しいわ〜(相変わらず下手の横好きですが)

さてこうした設定の中で、地下に住むニコラスがあるものを求めて地上に上がったところで話が動き出します。これは地下住民が革命を起こすんだなという最初の予想は大外れで、情報操作の台本や撮影の話に、そして補佐官(官僚?)の謎の連続殺人事件が起こり、探偵(!)が登場してミステリーになったかと思いきや、ラスボスと謎多き補佐官の最後のバトル…も描写せず、遠回しに結果(オチ)がわかるという。なぜそうなるの?

読み終わった時は、せっかく設定も小道具も凝っていたのに、キャラが中途半端で残念!でも無理くりまとめちゃう力技こそディックの醍醐味!とかやけくそ気味に思っちゃったり。60年代ディック作品は玉石混淆らしいので、しばらく石作品が続くかもなぁ(初期から順繰り読んでいるので、この後はあんまり有名でない作品が2〜3続く)とディック作品が陳列した本棚を見て思う。でも読みながら漫画描いたりして楽しむぞう。