夜空と陸とのすきま

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ヴィーナス・プラスX/シオドア・スタージョン

 

ヴィーナス・プラスX (未来の文学)

ヴィーナス・プラスX (未来の文学)

 

 突然、両性具有の理想郷の世界に放り込まれた男性、もとの世界に戻るには、「私たちの世界を評価せよ」と言われ…。同時に50年代アメリカの一般家庭の日常が交互に進む展開。

二十七歳のチャーリーはラブラブな彼女の家から朝帰りして、自宅の階段を上る途中で記憶が途絶え
目覚めると奇天烈な服を着たレダム人のいる滑稽無糖な建物の中にいた。

Where am I! いったいここはどこなんだ?

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勝手に未来にタイムスリップしたんだと納得するチャーリー。
思わず失笑しました。今なら自分もそう思いこみそうだし。

さて状況が落ち着いてからは好意的なレダム人からレダムを案内されます。レダム人は両性具有者同士の結婚により、双方が妊娠し双子を出産し、進んだ科学の力で知識や情報は一瞬で脳にインプットされ、でも実生活は手作業でアナログ的体験を大事にするというある意味合理的な理想郷。

次第にこの世界に共感し、素晴らしいと褒め称えるチャーリー。かと思ったら、ある出来事をきっかけにラストには偏見に満ちたチャーリーの本心が暴露するという大どんでん返し。オチのひねり具合は3回転半と凄かったです。私にはまったく先が読めなかったなぁ。

ジェンダーについて客観的になれる良作SF!