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池上彰・森達也のこれだけは知っておきたいマスコミの大問題/池上彰・森達也

 

 

池上彰・森達也のこれだけは知っておきたいマスコミの大問題

池上彰・森達也のこれだけは知っておきたいマスコミの大問題

 

 池上彰森達也の今までありそうでなかった対談集。お二人とも元テレビ局社員からフリーになったので、マスコミの現場を知っている分、とてもいい内容の対談でした。ちょっと表紙デザインとタイトルで損をしている気がする。もう少しセンスが欲しいところ。

高学歴エリートや芸能人の二世がマスコミ人になると、視聴者からの苦情1件でもプライドが堪えられず、対応にめんどくさくなり、結局首都圏の並ぶお店や郊外穴場スポット旅番組みたいな、可も無く不可も無い穴埋めコンテンツやっとけばいいだろうとなっていったのかしら…と思いました。ジャーナリズムの骨のある報道番組を見たいものです。(つくづくクローズアップ現代のアナ交代が惜しい、もう「みのもんたの朝ズバ」すら恋しい)

池上さんはテレビ(テレ東の選挙特番以外)では中立派の立場をとっているかのように見えますが、書籍ではなかなか…したたかなお人だなぁ。ご自分の影響力をよく理解してるんですね。

週刊こどもニュース」の裏話や昨年のIS人質事件やジャーナリズム精神についてのお話と、森氏のオウム事件話が興味深かったのですが、印象に残った箇所は、”ドイツは基本法(憲法)を変えるとき、国民投票をしない。歴史の教訓から国民の判断を信用していない、先の大戦で自分達民衆の流されやすさに絶望したから、知性のある代表者たちだけで基本法を考える決断をとった。”というところ。成熟した社会を感じます。

人生は短い、匿名の情報なんか何の価値もない。

 ぐっとくる言葉。でも自分もこうして匿名でブログ書いてる…。