夜空と陸とのすきま

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光の帝国 常野物語/恩田 陸

 

 

光の帝国 常野物語 (集英社文庫)

光の帝国 常野物語 (集英社文庫)

 

 

 権力を持たず、群れず、常に在野の存在であれという意味で「常野」を名乗る一族は、長命、遠耳、つむじ足など不思議な超能力を持つ。そんな常野の連作集。

久しぶりにLINEで繋がり、本の話題で盛り上がった友達からオススメされた本。実は昨年9月頃に読み上げていたけれど、このブログに書く機会を逃し、昨日図書館で続編にあたる「蒲公英草紙」を借りてはみたものの、登場人物はツル先生以外さっぱり忘れていて、この「光の帝国」ももう一度借りて読み返すはめにいたりました。それぞれは短編ですが、登場人物の数があまりにも多くて、話の流れと相関図をノートに書きながら読み返して、ようやく全体像が理解できたところ。

超能力で戦うシーンもあり、予想に反してホラー要素や残酷な描写にゾッとしつつも、常野一族は魅力的。どことなく山窩っぽいかな。

「光の帝国」はずいぶん前にNHKでドラマ化してたのですね、ツル先生は笹野高史。うん、そうだろう、そらそうだ。

春田家の「大きな引き出し」の話が一番印象的でした。春田家の能力は世界中の書物や音楽を丸暗記して”頭にしまう”力、それを”響く”力。私も丸暗記までは無理でもこの常野物語の一部をしまい、いつまでも響かせたいですね。