まさかヴァーリイをご存じない。
なにも失くしたことがないならそれでいいけど。円城 塔
という帯が目にとまり、サー!知りませんでしたっ!すぐ読ませていただきます!とレジに持っていきました。新しい作家さんだと思っていたら、70〜80年代を代表するサイバーパンクの先駆け的存在のSF作家さんだったとは。でも古書店であまり見かけたことがないんだよ、面白いから古書に出回らないのかしら。
6編からなる短編集。毎晩1話ずつ蒲団に入って読みましたが、夢にまでしっかり出てきた。読み進めながらやたらドキドキしたのは、やや官能的でもあったせいです。
表題作の『逆行の夏』と『さようなら、ロビンソン・クルーソー』は、ボーイ・ミーツ・ガールを描いたほろ苦い作品。世界観がなにかとデジャヴしたので、なんだっけなーと考えてみましたが、市川春子の作品っぽいのかな。全く見当違いだったら失礼しましたですが、表紙のシライシユウコと市川春子の絵柄が似てるからかも。読書中はずっと脳内で市川画で変換してました。
25時のバカンス 市川春子作品集(2) (アフタヌーンKC)
- 作者: 市川春子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/09/23
- メディア: コミック
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中盤の『バービーはなぜ殺される』から、がらっと変わってSFサスペンス刑事物。わらわら出てくるバービー怖し。
『ブルー・シャンペン』
「だってあの人を追いかけている自分が大好きなんだもん!」ズッコケ!という映画『千年女優』を彷彿させました。女優怖し。
『PRESS ENTER ■』
テクノ・ホラー。呪いのビデオ(リング)みたい。コンピュータ怖し。
という感じで、色々と怖かったので夢にまで出てきたのです(T_T)でも一番衝撃を受けたのは『残像』ですね。聾唖者ばかりのユートピア、何か次元が違うというか、価値観がひっくり返るほどの衝撃。描写が細かいので説得力がありました。初ヴァーリイ体験面白かったです!