本棚の隣で針仕事

雪国在住。積ん読本と図書館通い、 録画した映画、買いためた布や手芸用品をどうするかの記録。

紙の動物園/ケン・リュウ

紙の動物園 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

私の読みたい本リストにテネシー・ウィリアムズガラスの動物園」がありまして(確か豊崎由美氏が押してた)、最近、大森望氏の書籍紹介記事で面白そうだなと興味をもったのが、ケン・リュウの「紙の動物園」。
本屋さんの棚でみかけたときには「ここにあった〜!」と思わず言ってしまい、どっちの動物園だっけとなりました。

新☆早川・SF・シリーズ本って、ビニールのブックカバーがついてて、ポケット版で手塗りの彩色がほどこされているんだかで、結構高い(>_<)。来年には普通の文庫本化されるとわかってはいるものの、本との出会いは一期一会だしと無理して買う。今年の4月初版なのに、もう5版め。えらいヒットやなあと思ったら、かの芥川賞受賞又吉さんが紹介したので売れているとのこと。又吉効果!!買った後にいつも通っている図書館の新着書籍棚にあったのを見つけてしまったよ…。田舎の図書館がSF本を入荷するなんて、又吉効果!!(嬉しくて悔しい)でもこの本は確かに買って正解でした。

表題作はヒューゴ賞、ネビュラ賞世界幻想文学大賞という史上初3冠受賞のわずか20ページの短編。どことなくオルゴールが流れてくるようなノスタルジックさがありました。折り紙の動物が命を吹き込まれ動き出す、脆くも強い物語。ラストの母の手紙に涙。親子のすれ違いは切ないね。

中国で生まれ育ち、アメリカに渡ったケン・リュウ。中国・香港・台湾そして日本の文化を題材にしたアジアンなSFもいいですね。ケン・リュウの作品は中国でも大人気、でも中国語訳されていないらしい「月へ」と「文字占い師」の2作は、中国共産党がかかわってくるからか、拷問など後味の悪さがありました。これが普通に出版できるような国になるといいねぇ。

15編の中では、一番最後に収録されている「良い狩を」が一番好きでした。霊幻道士からスチームパンクになるとは思いもよらない展開。大好物です(笑)。これは長編作として書き直ししてほしい、そして映像化されてほしい。

 期待の新人ケン・リュウテッド・チャンとともに、その名を聞いただけでこれからはときめきそうです。早よ、新刊を早よっ!