夜空と陸とのすきま

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偶然世界/フィリップ・K・ディック

 

 

偶然世界 (ハヤカワ文庫 SF テ 1-2)

偶然世界 (ハヤカワ文庫 SF テ 1-2)

 

 ディック処女長編作。ハヤカワの新装版シリーズは表紙がかっこいいなぁ。
古本屋で購入したので、新装版が少しうらやましい。

ゲームとクイズ(くじ)と暗殺の未来社会という設定。無作為に作動する権力転移装置ボトルの抽選で最高権力者(クイズマスター)に決まったカートライト氏、直後に権力を奪い取りたい志願者キース・ペリッグが指名大会で刺客に認定され、執政庁はティープ(心理を読むエスパー)集団で刺客の襲撃を阻むというお話。世界のルールが突き抜けすぎてびっくりです。

で、そのペリッグの正体は、数人が入れ替わり立ち替わりランダムに遠隔操作するアンドロイド(もちろんルール違反)であり、多重人格のようにちぐはぐな行動をしてエスパー集団の読みを撹乱しながらカートライト暗殺のために執政庁を目指すのです。
宇宙船で月に脱出するカートライト爺、追いかけて宇宙を飛ぶ!?ペリグ。
ええっ飛ぶんかい∑( ̄[] ̄;)
楽しいやつだなペリグ。
ディックのアイデア暴走っぷりが面白かったけど、終わり方は結構無理矢理な感じ。

ヒロインがアンナ・カリーナのように始終けだるくイライラしながら喫煙するのが、なんか印象的でした。