夜空と陸とのすきま

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晴れた日に永遠が…/中野翠

 

 

晴れた日に永遠が・・・

晴れた日に永遠が・・・

 

 

図書館で借りる。
2014年のサンデー毎日連載分のまとめ。

中野翠さんのエッセイは20代の学生の頃に、ずっと読んでいました。この方のエッセイで単館上映の映画や面白そうな本を教えてもらったり、森茉莉を知ったりと(これは大きい収穫でした)。だんだんと落語や山歩き(山女にこだわる)コラムが増えてきたあたりから読まなくなってしまいましたが、久しぶりに図書館でみかけたので、手にとってみました。

相変わらずこまめに試写会へ出かけ、千葉の知人の別荘に行きとご健在で嬉しかった。でも若者言葉に苦言をいうことが増えて、アニメのサザエさんをベタ褒め、「ゼロ・グラビティ」は宇宙空間が怖いと評価を低くしてしまったりと、すっかりご隠居さんになっちゃたんだな〜という印象でした。

とりとめのない日常のコラムについては、自分が首都圏に住んでいたころは、中央区近辺にいらっしゃる中野さんの日常感覚が少しわかりましたが、こうして地方いるとやっぱり違和感を感じてしまう。これはもうしょうがないことで、ど田舎在住・昭和環境・3世代同居だと都会アレルギーになるんだもん、生活感覚が違いすぎるから。

でも何を野暮と思うかや、イキの美意識は変わらずで、辛口批評よりもその中野さんの感性が好きなんだなと改めて思えました。

たとえば「タイ代理出産事件」について

自己愛とDNA信仰と莫大なカネーこの三つが結びつくと、「永遠の私」というのが、少しばかりリアリティをもって妄想できるわけなのだった。
羨ましいとは思いませんね。おぞましいと思う。限りある命だからこその人生じゃあないか。「永遠の私」は人生の断面の中で、奇跡のようにフッと心をかすめることもある、ただそれだけ。はかなく不確かなものだ。だからこそ貴重な瞬間なのじゃあないのか?

うんうん、こういう中野節が好き。年をとってもぶれなくていいな。