夜空と陸とのすきま

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ジョーンズの世界/フィリップ・K・ディック

 

 

ジョーンズの世界 (創元SF文庫)
 

 

古書店で購入、積ん読消化。

ディック初期の第二長編。一年先の予知ができるジョーンズと、彼を取り締まる秘密警察官の話。 同時に金星に適した体に改造されたミュータント達の話と、宇宙からのドリフター(漂流者)の話も進むため、大風呂敷を広げすぎて収集がつかなくなった印象がありました。SF的なアイデアをこれでもかと練り込んで、放置という。でも50年代にこんな細かいディケールまで!やっぱりディックはすごい。

ジョーンズは1年先を予知できても、未来を変えることはできず、地球の未来と最後は自分の死後まで予知して絶望におちいる。秘密警察官の主人公も予知の力で世界を支配したジョーンズを押さえることができず絶望。その妻も夫婦仲が改善できなくて絶望。登場人物全員が絶望しているという、どうしようもない暗い世界。金星にたどりついたミュータント達だけが、新しいコロニーを作り次の世界を築きあげていく。

未来がわかり、何も考えず楽なのでジョーンズを支持する大衆。純粋な熱意でジョーンズ星間十字軍のバッチを売る子ども達。こういう社会風刺は上手いなぁ。

後半のどこかのページで「めちゃんこ○○だ」という表現が出てきたのですが、めちゃんこ…アラレちゃん…? ( ゚Д゚)・∵.えー