夜空と陸とのすきま

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献灯使/多和田葉子

 

 

献灯使 (講談社文庫)

献灯使 (講談社文庫)

 

 

図書館で借りる。

3.11その後の大災害後、放射能汚染で老人は不死となり、生まれてくる子どもは弱い体を持つ鎖国中の日本、という近未来ディストピア小説

そして終わり方が腑に落ちないので純文学。

元気な120歳の老人義郎と病弱なひ孫 無名の明るさと、文章が魅力的で面白い表現なのですらすら読めるが、読み終わると現実が怖いとしかいいようがない。ドイツ在住の多和田氏の目には、再稼働や五輪でわく日本の脳天気が心配にうつるのだろう。

読んでいる最中に、Twitterで「福島の不幸ぐらいで、原発はやめられない」という某自民党幹部の発言が流れてきて驚愕しました。いやいやいやいや…あの不幸が”それぐらい”ですむのか。このまま海に垂れ流していく現状と、うそばかりでごまかす東電の放置と無責任、いつまた起こるかもしれない震災と原発事故に脅える未来でいいのか。とぐるぐる考えてしまう。