本棚の隣で針仕事

雪国在住。積ん読本と図書館通い、 録画した映画、買いためた布や手芸用品をどうするかの記録。

車谷長吉の人生相談 人生の救い/車谷長吉

車谷長吉の人生相談 人生の救い (朝日文庫)

 

古本で購入、積ん読消化。

老若男女からの投稿による人生相談に最後の文士こと車谷長吉が答える。朝日新聞土曜日別刷に連載されている「悩みのるつぼ(車谷長吉回答)」をまとめた文庫本。

巻末の万城目学氏の解説文で

「いやあ、今日も車谷先生、豪快に殺してはるわ〜」とそのあまりに独自性に富んだ回答に、土曜のさわやかな朝が、徳も言われぬ澱みを纏ってスタートしたこともしばしばであった。

 と書かれてますが、ホントそのとおり!毎週末の「悩みのるつぼ」はいつも楽しみですが、必ず月に一度訪れる澱んだ土曜日…。投稿者の不幸な悩みより、さらに奈落の底から語る車谷氏の凄さ。そして、その連載を文庫本で一気読みするのですから、さらに毒倍増。もうくらくらです。

たとえば、[口汚い妻にうんざりです。無職男性60代]という相談に、車谷氏は「人形を抱いて寝られますか」と回答。離婚されると淋しくなりますよと続いて

私が結婚したのは四十八歳の秋でした。それまでは毎日毎晩、淋しく、夜は木目込み人形を抱いて寝ていました。陶器で出来ていいます。背の高さは五十センチほどです。アパートの独り暮らしでしたから、知人が訪ねて来ると、驚いていました。夏目漱石「三四郎」に出てくる美禰子という名前をつけていました。 

とくるのです。本当に突き抜けすぎていて最強だと思います。

お釈迦様の教えとして諭す回答が多いのですが、これだけ人生を翻弄して迷い、たどりついた仏教は重みが違う。お寺の跡取り息子さん達も、若いうちに挫折を経験し、雲水となって放浪する時があれば、世襲制で保守的になった既成仏教ももう少し変わるのかな。