夜空と陸とのすきま

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人間以上/シオドア・スタージョン

 

 

人間以上 (ハヤカワ文庫 SF 317)

人間以上 (ハヤカワ文庫 SF 317)

 

 

古本で購入、積ん読消化。

 子供やモウコ病の赤ん坊、白痴といったいわゆる社会的弱者が連携し、集団となることで、ホモ・サピエンス(人類)以上の能力を持つようになるホモ・ゲシュタルト(集団人) を描いた古典SF。 

読んではみたものの、正直うまく咀嚼できず。それは文体が古いのもあるし、抽象的表現の解釈が必要なところが多々あるから。もう一度読み返してみたいとは思いました。
この1953年のSF「人間以上」から影響を受けたであろう作品は多いそうで
↓これとか(最強頭脳を持つ赤ちゃんってまんまですがな)

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AKIRA」や「童夢」も影響受けてる気がします。このようなミュータント・テーマを最初に考えついたというのはすごいですな。

5人が集結して驚異的な能力を得て、さあこれから異星人または悪の組織と戦うのかというエンタメな展開にはならず、能力がそろっても完成にはまだ足りない、必要なのは…というとても内面的な話になります。しかし世間から虐げられてきた登場人物をとても丁寧に描いているので、最後に孤独から解放されて心やすまりました。ちょっとTVエヴァのラストの拍手シーンを思い出したり。

解説より引用

常にさびしがり、他人とのふれあいをもとめ、愛にのめりこんでいく。そのくせそうしたどろどろした感情のからまりの中で自由を失っていくことに激しい恐怖感を抱いている。