夜空と陸とのすきま

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海賊と呼ばれた男/百田尚樹

 

 

海賊とよばれた男(上) (講談社文庫)

海賊とよばれた男(上) (講談社文庫)

 

 

お義母さんから文庫本上下巻を借りる。

国岡鐡造が築き挙げた石油会社「国岡商店」と「日章丸事件」の物語。

読んでみたいと思い借りましたが、やっぱりいつもの百田節にうんざりし後悔しつつ、それでもしゃくなので意地で読み終えました。引用の羅列が多く、セリフだけが目立ち情景がわからない、主人公を賛美しすぎる、「永遠の0」の宮部が登場した時は苦笑してしまった。これを最後に百田作品は卒業したいと思います。

ワンマンな店主を盲信する社員という前提がなければ、それって社畜ブラック企業なんじゃないのか、従業員はどれだけ家族や自分を犠牲にしたのだろうかと想像してしまい薄ら寒くなるし、女性と子どもの扱いも酷い。その部分をお茶でにごし、気持ちの良いエピソードだけで突っ走って話が進む。

「日本人が…」「日本人とは…」と日本人は素晴らしいと絶賛する選民意識にもとれる表現も多く、自分はそんな言葉が気持ちよかった頃も過去にあったけど、最近はちょっと怖くなってきました。

でも下巻の「日章丸事件」のくだりは確かに面白かったし、戦前〜戦後の石油の世界史が理解できたのは良かったです。