図書館で借りる。
以前、「このSFがすごい!2009年度」を図書館の放出本でもらってきて読んでみたら、一様にこの「ハーモニー」の大絶賛、ハヤカワの陰謀?と疑ってしまうほど。でも確かに、星雲賞、日本SF大賞、フィリップ・K・ディック記念賞特別賞と総なめなので、ずっと気になっていました。
読んでいてなんとなく、エヴァンゲリオン(昔の方)とか、魔法少女まどか☆マギカっぽいと思う。セカイ系というやつですか。
アニメ化が決定したそうで、YouTubeで観ると
このナレーションの声が…。もうダメなんですけど。
アニメの方は、できるだけ萌っぽい絵じゃないといいな。(無理か)
「ハーモニー」は、近未来の高度な医療環境が構築された監視社会が舞台で、作者にとってはこの作品が遺作。なんと34歳で肺ガンのため死去。同年代だし、同じ系列の大学を卒業されているのでとても親近感がわきました。
闘病中に書かれたため、まだ生きたい、物書きを続けたい、病気なんてなくなればいいのにと心の格闘はかなりあったはず。そんな中で「ハーモニー」では、「病気が消滅したユートピアのようなセカイ」なのにやっぱり「人工的にカラダを管理されたセカイは嫌だ」ともがく少女達。
「わたし、カラダが生きてて、変化するもので、永久とか永遠なんてものはなくって、生きるって苦しくて痛いものなんだ、ってはじめて実感したの。これが生きていることなんだって、この苦しさが、人間が生命である証なんだって」
作者の心中を思うと、壮絶だなーと思います。まさに死と隣り合わせの日々で生まれた物語。
だから主人公達には、最後まで抵抗して生きる証を「セカイ」に取り戻して欲しかったのに、どういうわけだこのオチは!という最後が納得いかないなぁ。
まあ「セカイ」と心中しちゃうような感じでした。