夜空と陸とのすきま

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太陽の塔/森見登美彦

 

太陽の塔(新潮文庫)

太陽の塔(新潮文庫)

 

 古書店で購入。積ん読消化。

ファンタジーノベル大賞を受賞したデビュー作。
といっても、森見氏特有の、京都・大学生・四畳半
な舞台で、世の中にはクリスマスという悪霊がはびこっている。
リア充氏ね。
鴨川に座っている男女を焼き払え。
と男4人が文士的な語り口でうだうだ言い合っているだけの話。
デビュー作から変わってないんだなあと。
いったいどこがファンタジーなんだ?

そういう自分も、大学に入学し、いざ一人暮らしというときに
古い○○荘と名の付く木造アパート風呂なし畳部屋に憬れ
本当にそんな条件の揃ったアパートに住んでいました。
玄関は引き戸でした。鍵は昔のくるくる回す棒鍵。

父親は、遠く離れて一人暮らしをする妙齢の娘を
さぞかし心配しただろうと親になった今痛烈に感じます。
黒歴史です。
なぜそんなのに憧れたのか今ではわからない
自分なりの美学にのぼせていただけのような気がします。
中二病よりもたちが悪いです。

そんな経験もあるので、こういううだうだ言ってるだけで
なにも生産しない無駄に時間を消費する贅沢を味わう
学生生活の物語が懐かしく、こそばゆく
そして自分の黒歴史を様々と思い出し、悶絶しました。

タイトルにもある「太陽の塔」は大好きなので

太陽の塔には人間の手を思わせる予知がなかった。それは異次元宇宙の彼方から突如飛来し、ずうんと大地に降り立って動かなくなり、もう我々人類には手のほどこしようもなくなってしまったという雰囲気が漂っていた。宇宙遺産である。

という表現に吹きました。とても言い得て妙な、すばらしい表現だ。
なので、もうちょっと太陽の塔と「水尾さん」の話を絡めて欲しかったかな〜。
なんかよくわかんなかった。