夜空と陸とのすきま

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むかしのはなし/ 三浦しをん

 

 

むかしのはなし

むかしのはなし

 

 図書館で単行本を借りる。

 桃太郎、浦島太郎、かぐや姫などの日本昔話を現代風にアレンジした連作短編。

昔話のかぐや姫→現在の人気ホストの話だったり、
全ての話がひとつに繋がっていくので、
途中でまた読み返したりしてなかなか楽しめました。

 ずっと現在の話だと思っていたら、
途中から隕石が墜落して3ヶ月後に地球滅亡、
木星にロケットで避難。

全長5キロもある宇宙コロニーロケットに乗れるかどうかと
実は近未来の話になっていて、突然SFチックになってくる。

 滅亡するかもしれないなら、世の中の人間は

「殺人・強盗などめちゃくちゃやりたいことをやる」
「普通通りに過ごす」
の二通りににわかれて

登場人物は後者の人たちだったので
自分も静かに普通通りに過ごせたら幸せだなと思う。
仕事に没頭してるのが一番楽かも。そんな事態になったら、実際はなかなか平常心でいられないだろうけど。

 読み進むにつれて絶望感がひしひしと伝わってきて、単行本のページの四隅に黒いインクが染みついているデザインも、なんとなく気持ちをざわざわさせて、上手い演出だなと感じました。

文庫本はどうなっているのかしら。

 浦島太郎をモチーフにした、入り江の漁師の話が一番自然で良かったです。