夜空と陸とのすきま

ゆるいSF脳。SF小説1000本ノックを目指しています

読書【小説SF】

虚数/スタニスワフ・レム

レムの架空の本の書評集『完全なる真空』と、未来の本への序文集『虚数』の奇書2作のおうわさはかねがね。図書館の端に追いやられたちょっとだけの外国文学の棚の、ほぼミステリー小説ばかりの中で、『虚数』を発見したときの「うわっ!虚数あったよ」とい…

郝景芳短篇集/郝景芳

気が付いたら、一月近くも更新が途絶えている…。さて大型すぎた10連休、皆様はいかがお過ごしでしたか?もう疲れたよね〜。雪国の長い春休みがやっと終わったらと思ったら、健康診断、家庭訪問、授業参観後の10連休。1学期の授業の遅れはどうなっちゃうんだ…

シンドローム/佐藤哲也

『バーナード嬢曰く』の3巻で紹介されていた本を見つけたと、娘が図書館から借りてきていて、SFならば私も読まねばならぬなと手にとりました。 福音館書店がティーンズ向けのSFシリーズを出していたとはっ。その名も「ボクラノSF」シリーズ。そしてこの『シ…

はだかの太陽【新訳版】/アイザック・アシモフ

ニューヨーク市警の刑事ベイリは、ロボット刑事ダニールとともに、宇宙国家ソラリアで起きた殺人事件の捜査を命じられるというお話。 冴えない中年刑事とロボット刑事のコンビが活躍する『鋼鉄都市』の続編。何かタイトルを見たことあったなぁと思ったら、だ…

時間線をのぼろう/ロバート・シルヴァーバーグ

ベンチリイ装置の開発により、過去への時間旅行が可能となった未来。時間局の新米時間観光ガイドのジャドは、今日も観光客と共に過去のビザンティウムへ旅に出る。ある日過去の旅で出会って恋した絶世の美女はジャドの大大大大大……おばあさんだった!という…

鋼鉄都市/アイザック・アシモフ

ニューヨーク・シティの刑事ベイリと、宇宙からきたロボット捜査官R・ダニールが宇宙人惨殺事件の捜査に乗り出すバディもの。 最初にハヤカワSFをむさぼり読んでいた高校生の頃以来の、かなり久々のアシモフ。あの頃は海外SFっていってもどれから読んでいっ…

世界の終わりの天文台/リリー・ブルックス=ダルトン

「戦争が始まるらしい…」という噂を最後に総人類の気配が消え、北極圏に一人取り残された老天文学者と、木星探査機で宇宙にいるクルー達のセクションが交互に進むお話。 老天文学者の元にはなぜか少女が現れ、共に厳寒の地で生活を始める。一方、木星から地…

クロストーク/コニー・ウィリス

脳外科手術EEDを受けると、パートナーの気持ちがダイレクトに伝え合うことができるようになる!この最新のEED処置を一緒に受けて、より親密な関係になろうと恋人に誘われたブリディ。ところが手術を受けたらテレパシーが使えるようになっちゃったという、超…

フロリクス8から来た友人/フィリップ・K・ディック

天才<新人>と、超能力を持つ<異人>が登場し(ニュータイプちゅーやつやな) 60億人のとりとめのない<旧人><下級人>は支配される。(悪夢の階級制度やな) グラス公共安全特別委員会議長<異人>の恐怖政治が続く中、10年前に宇宙に飛びだしたブロヴ…

禅<ゼン・ガン>銃/バリントン・J・ベイリー

新年あけましておめでとうございます。ブログ6年目になります。そしてジャスト400回目のエントリー!続くなぁ。今年もSFをじゃんじゃん読んでいくよー! さて、年明け一発目は猪が出る小説を探したけど本棚になくて、猿が出る小説。2年前のお正月もベイリー…

自生の夢/飛 浩隆

飛さんの新刊『零號琴』のぶ厚さにおののき、とっさに隣りにあったこの本を手に取りました。こちらも星雲賞(日本短編部門)や日本SF大賞の受賞作品が収録されている豪華本。『自生の夢』は連作で、なんとなく収録されているすべての短編の設定が繋がってい…

銀河市民/ロバート・A・ハインライン

地球から遠く離れた惑星サーゴンの奴隷市場に売られ、老乞食バスリムに買われた少年ソービー。やせこけて死にそうなソービーは幼少期の記憶がなく、なぜ奴隷になったのかも覚えてはいなかったが、一見乞食のふりをして、実はただ者ではない知性と人格を持つ…

トム・ハザードの止まらない時間/マット・ヘイグ

歳を取るのが非常に遅い「遅老症(アナジュリア)」の男性、トム・ハザードの437歳人生回顧。16世紀末に生まれ、魔女狩り、シェイクスピアとの出会い、ペスト流行、太平洋航海、戦争と様々な時代を生きつつ、生き別れの娘マリオンを探す、愛と孤独の物語。 …

あなたのための物語/長谷敏司

人工神経制御言語・ITP開発者のサマンサは、不治の病のため余命半年を宣告されたが、残された時間をITP商品化のための難題解決に注ぎ、命を賭けて仕事に打ちこむ。サマンサを見守る仮想人格≪wanna be≫は彼女のために小説を書くというお話。 初っぱなからサマ…

SFマガジン700【海外篇】創刊700号記念アンソロジー

大御所SF作家の短編よりどりみどり贅沢なアンソロジー。さすがSFマガジン創刊700号記念です。ゆるいSF脳なので、ハードな物は読んではみたけど全く理解できておらず。特に初めてグレッグ・イーガンの短編を読んだけれど、一生懸命わかったふりをして読み通し…

最後のウィネベーゴ/コニー・ウィリス

SFの女王コニー・ウィリスの短編集。コニー・ウィリスといえば、上下巻の分厚い長編作家というイメージで、まだあまり手を出していなかったのですが、このベスト短編集面白い。ウィリス中毒になるってわかる、笑いがあるって大事。 ○『女王様でも』「そんな…

ロカノンの世界/アーシュラ・K・ル・グィン

「ゲド戦記」でおなじみのル・グィンのSF。SFといっても惑星・宇宙船・兵器がちょろっと出てくる意外はほぼファンタジー。辺境の地フォーマルハウト第二惑星の大陸横断物語。読み終えてから、ル・グィンが作った「ハイニッシュ・ユニバース年代記」という時…

2001年宇宙の旅/アーサー・C・クラーク

古書で購入したので、今出ている「決定版」ではないほう。昭和54年第14版で320円、安い!この40年で文庫本は3倍の価格になったんだな、と遠い目。 アーサー・C・クラークといえば、該博な科学知識に基づいてSF世界を構築する第一人者なので、とってもわかり…

模造記憶/フィリップ・K・ディック

新潮文庫から出ているディック短篇集3冊のうちのひとつ。初期から晩年まで幅広く押さえていてバランスが良い。80年代の新潮文庫は海外SF小説を色々と出版していたようで、よく古書店でみかけます。先日の「新潮45」騒動は腹立たしいことこのうえなかったけ…

イヴのいないアダム (ベスター傑作選)/アルフレッド・ベスター

ひたすら積ん読がたまっていく本棚から、イヴ繋がりでベスター傑作選をチョイス。あとがきにある「絶版となっている河出書房新社〈奇想コレクション〉の『願い星、叶い星』を改題して、新たに出版」を読んでふと見上げると、同じ本棚にその奇想コレクション…

七人のイヴⅢ / ニール・スティーヴンスン

月の無数の破片が落下し、地球は滅亡。かろうじて残った月の破片にたどり着いた人類の七人のイヴ達は、単為生殖により各人が選択した自分の遺伝子的特徴を残した七つの種族を作り出した。 それから5000年の月日が経ち、軌道上に建てた構造物ハビタッド・リン…

サマー/タイム/トラベラー 上・下/新城カズマ

東京オリンピックのマラソン競技だけのために、大混乱を招き、現場SEが阿鼻叫喚するサマータイムを導入しようとか、いいかげんにせいやぁちころすぞごるぁなどと下品な言葉を発しながら鬱々とした気分になったところで、積ん読棚にあった「サマー/タイム/ト…

七人のイヴⅡ/ニール・スティーヴンスン

月が7つに分裂し、無数の月の破片の落下<ハード・レイン>がいよいよ始まる。宇宙ステーションを核とした<クラウド・アーク>に逃れた人類は1500人。襲いかかる困難の数々、そして内部分裂、はたして人類は生き延びれるのかー近未来宇宙開発ハードSF大作、…

リアル・スティール/リチャード・マシスン

米ドラマ「ミステリーゾーン(トワイライト・ゾーン)」の脚本家であるリチャード・マシスンの短編集。といっても私は「ミステリーゾーン」をリアルタイムで見ていないけど、週刊少年ジャンプ連載の「アウターゾーン」は読んでいた世代なんですが、オチが効…

リンカーンの夢/コニー・ウィリス

南北戦争の物語を書き綴る作家の資料調査助手ジェフは、あるレセプションで旧友の彼女であるアニーと出会う。精神が不安定なアニーは毎晩奇妙な夢に悩まされていた。その夢は南北戦争の光景の中で、誰かと対話しているのだ。アニーの夢の謎を解くために2人は…

七人のイヴⅠ/ニール・スティーヴンスン

突如、月が7つに分裂し、その月のかけらがやがて衝突を繰り返し、2年後には無数の隕石となって地球に落ちてくると判明する。その結果、5千年は続く灼熱地獄が起こり、地球上の全てが不毛の地となるだろう。人類の種を残し、宇宙に避難するため各国政府は協調…

モロー博士の島/H・G・ウエルズ

色々と掛け持ちの仕事をしてしまい、多忙の中ようやく読み終えたSF小説。ほんまに自分もモロー博士の島に閉じ込められた思いでした…。 大西洋で海難事故にあい、漂流していた主人公。8日目に通りかかった船に助けられたが、その船には怪しい白髪の男と猛獣が…

シビュラの目 ディック作品集/フィリップ・K・ディック

ディック60年代の黄金期の中・短編集。なにかと長編の作品と設定がかぶっているので、絵画で言えば大作のための素描・エスキースのような感じを受けました。 ・宇宙の死者 人は死ぬと急速冷凍され半生者として霊安所に保管、半生期寿命の1年分を小出しに1〜2…

冷たい方程式/トム・ゴドウィン他

1950年代のSFを中心に組まれたアンソロジーで、表題作含む9編の短編を収録。 『冷たい方程式』は訳者あとがきによるとSF"五大名作短編”のうちのひとつだとか。私は山本弘著の『ビブリオバトル部』の空ちゃんが熱く語っていたなぁと手に取りました。ハヤカワ…

ゲームの王国 上・下/小川 哲

上下巻を読み終えた日に山本周五郎賞受賞!おめでとうございます!書評家のトヨザキ社長もおすすめ、去年のアメトーークで読書芸人がジャケ買いする本として紹介されてからずっと気になっていて、ようやく手に取りました。カンボジアのポル・ポト支配下にお…