夜空と陸とのすきま

ゆるいSF脳。SF小説1000本ノックを目指しています

読書【小説SF】

トム・ハザードの止まらない時間/マット・ヘイグ

歳を取るのが非常に遅い「遅老症(アナジュリア)」の男性、トム・ハザードの437歳人生回顧。16世紀末に生まれ、魔女狩り、シェイクスピアとの出会い、ペスト流行、太平洋航海、戦争と様々な時代を生きつつ、生き別れの娘マリオンを探す、愛と孤独の物語。 …

あなたのための物語/長谷敏司

人工神経制御言語・ITP開発者のサマンサは、不治の病のため余命半年を宣告されたが、残された時間をITP商品化のための難題解決に注ぎ、命を賭けて仕事に打ちこむ。サマンサを見守る仮想人格≪wanna be≫は彼女のために小説を書くというお話。 初っぱなからサマ…

SFマガジン700【海外篇】創刊700号記念アンソロジー

大御所SF作家の短編よりどりみどり贅沢なアンソロジー。さすがSFマガジン創刊700号記念です。ゆるいSF脳なので、ハードな物は読んではみたけど全く理解できておらず。特に初めてグレッグ・イーガンの短編を読んだけれど、一生懸命わかったふりをして読み通し…

最後のウィネベーゴ/コニー・ウィリス

SFの女王コニー・ウィリスの短編集。コニー・ウィリスといえば、上下巻の分厚い長編作家というイメージで、まだあまり手を出していなかったのですが、このベスト短編集面白い。ウィリス中毒になるってわかる、笑いがあるって大事。 ○『女王様でも』「そんな…

ロカノンの世界/アーシュラ・K・ル・グィン

「ゲド戦記」でおなじみのル・グィンのSF。SFといっても惑星・宇宙船・兵器がちょろっと出てくる意外はほぼファンタジー。辺境の地フォーマルハウト第二惑星の大陸横断物語。読み終えてから、ル・グィンが作った「ハイニッシュ・ユニバース年代記」という時…

2001年宇宙の旅/アーサー・C・クラーク

古書で購入したので、今出ている「決定版」ではないほう。昭和54年第14版で320円、安い!この40年で文庫本は3倍の価格になったんだな、と遠い目。 アーサー・C・クラークといえば、該博な科学知識に基づいてSF世界を構築する第一人者なので、とってもわかり…

模造記憶/フィリップ・K・ディック

新潮文庫から出ているディック短篇集3冊のうちのひとつ。初期から晩年まで幅広く押さえていてバランスが良い。80年代の新潮文庫は海外SF小説を色々と出版していたようで、よく古書店でみかけます。先日の「新潮45」騒動は腹立たしいことこのうえなかったけ…

イヴのいないアダム (ベスター傑作選)/アルフレッド・ベスター

ひたすら積ん読がたまっていく本棚から、イヴ繋がりでベスター傑作選をチョイス。あとがきにある「絶版となっている河出書房新社〈奇想コレクション〉の『願い星、叶い星』を改題して、新たに出版」を読んでふと見上げると、同じ本棚にその奇想コレクション…

七人のイヴⅢ / ニール・スティーヴンスン

月の無数の破片が落下し、地球は滅亡。かろうじて残った月の破片にたどり着いた人類の七人のイヴ達は、単為生殖により各人が選択した自分の遺伝子的特徴を残した七つの種族を作り出した。 それから5000年の月日が経ち、軌道上に建てた構造物ハビタッド・リン…

サマー/タイム/トラベラー 上・下/新城カズマ

東京オリンピックのマラソン競技だけのために、大混乱を招き、現場SEが阿鼻叫喚するサマータイムを導入しようとか、いいかげんにせいやぁちころすぞごるぁなどと下品な言葉を発しながら鬱々とした気分になったところで、積ん読棚にあった「サマー/タイム/ト…

七人のイヴⅡ/ニール・スティーヴンスン

月が7つに分裂し、無数の月の破片の落下<ハード・レイン>がいよいよ始まる。宇宙ステーションを核とした<クラウド・アーク>に逃れた人類は1500人。襲いかかる困難の数々、そして内部分裂、はたして人類は生き延びれるのかー近未来宇宙開発ハードSF大作、…

リアル・スティール/リチャード・マシスン

米ドラマ「ミステリーゾーン(トワイライト・ゾーン)」の脚本家であるリチャード・マシスンの短編集。といっても私は「ミステリーゾーン」をリアルタイムで見ていないけど、週刊少年ジャンプ連載の「アウターゾーン」は読んでいた世代なんですが、オチが効…

リンカーンの夢/コニー・ウィリス

南北戦争の物語を書き綴る作家の資料調査助手ジェフは、あるレセプションで旧友の彼女であるアニーと出会う。精神が不安定なアニーは毎晩奇妙な夢に悩まされていた。その夢は南北戦争の光景の中で、誰かと対話しているのだ。アニーの夢の謎を解くために2人は…

七人のイヴⅠ/ニール・スティーヴンスン

突如、月が7つに分裂し、その月のかけらがやがて衝突を繰り返し、2年後には無数の隕石となって地球に落ちてくると判明する。その結果、5千年は続く灼熱地獄が起こり、地球上の全てが不毛の地となるだろう。人類の種を残し、宇宙に避難するため各国政府は協調…

モロー博士の島/H・G・ウエルズ

色々と掛け持ちの仕事をしてしまい、多忙の中ようやく読み終えたSF小説。ほんまに自分もモロー博士の島に閉じ込められた思いでした…。 大西洋で海難事故にあい、漂流していた主人公。8日目に通りかかった船に助けられたが、その船には怪しい白髪の男と猛獣が…

シビュラの目 ディック作品集/フィリップ・K・ディック

ディック60年代の黄金期の中・短編集。なにかと長編の作品と設定がかぶっているので、絵画で言えば大作のための素描・エスキースのような感じを受けました。 ・宇宙の死者 人は死ぬと急速冷凍され半生者として霊安所に保管、半生期寿命の1年分を小出しに1〜2…

冷たい方程式/トム・ゴドウィン他

1950年代のSFを中心に組まれたアンソロジーで、表題作含む9編の短編を収録。 『冷たい方程式』は訳者あとがきによるとSF"五大名作短編”のうちのひとつだとか。私は山本弘著の『ビブリオバトル部』の空ちゃんが熱く語っていたなぁと手に取りました。ハヤカワ…

ゲームの王国 上・下/小川 哲

上下巻を読み終えた日に山本周五郎賞受賞!おめでとうございます!書評家のトヨザキ社長もおすすめ、去年のアメトーークで読書芸人がジャケ買いする本として紹介されてからずっと気になっていて、ようやく手に取りました。カンボジアのポル・ポト支配下にお…

アルテミス上・下/アンディー・ウィアー

月面都市アルテミスでポーター(運送屋と密輸)として働くジャスミン(26歳)が、おいしいもうけ話を持ちかけられて、あれよこれよと殺人事件に巻き込まれ、知恵と勇気と仲間とで困難を乗り越えていくというお話。 『火星の人』アンディー・ウィアーの新作!…

月の部屋で会いましょう/レイ・ヴクサヴィッチ

初めてのSF作家さん翻訳本で、33編もの短編集。ひとつひとつが10ページ未満なのでどんどん読めるかと思いきや、中盤に差し掛かってくると疲れてきたり、やや混乱しました。あまりにも設定が素っ頓狂で。 一番手の『僕らが天王星に着くころ』。足下から体の皮…

ウォー・ヴェテラン ディック中短編集/フィリップ・K・ディック

ディックの初期短編6作品を仁賀克雄氏が訳しまとめたもの。社会思想社・現代教養文庫も今はもうなくなったのでレアな古本、でもよく古書店で見かけます。 『髑髏』“ミイラ取りがミイラになる”まんまの話だけど、ミステリアスで良く出来たSF短編だと思う。 快…

折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー/ケン・リュウ編

『紙の動物園』各SF大賞を総なめにした短編の名手ケン・リュウが精選し英訳した、中国若手SF作家達の短編アンソロジー。SFって大体が未来の話でもあるけれど、現代の写し鏡であり、その国の社会問題が見えてくるのが面白いなあと改めて感じました。印象深か…

銀河の壺なおし/フィリップ・K・ディック

サンリオ文庫というほぼ入手不可能で幻の文庫本だったのが、新訳でハヤカワ文庫から登場、待ってました!映画「ブレードランナー2049」ディック祭りのおかげです。同じくサンリオ文庫の「シュミラクラ」も入手を諦めていたけど新訳版を出してくれました、あ…

華氏451度/レイ・ブラッドベリ

本のページに火がつき、燃え上がる温度が華氏451度。人々を混乱させるという理由から書物を持つことも読むことも禁止された近未来。密告と通報で本は焚書処分され、書物を隠すと家まで焼かれる。消防士ならぬ焚書士の主人公は、本と共に焼死する老女を目にし…

アルファ系衛星の氏族たち/フィリップ・K・ディック

大寒波襲撃により日々除雪、除雪の年末です。ママさんダンプを使いすぎて手のひらにマメがっ!そんな中で今年最後になるであろう読書に選んだのが、ディック自身も失敗作と公言していた「アルファ系衛星の氏族たち」。 いやー毎晩寝落ちしまくり遅々として読…

刺青の男/レイ・ブラットベリ

旅行中に私が出会った刺青の男。彼の全身には見事な18の刺青が彫ってあり、夜の月明かりの中、刺青の絵は動きだし18の物語を演じ始める…というプロローグからなる18の短篇集です。 せつなくも美しい名作「万華鏡」。以前、たまたま流れ星を見かけたのですが…

霧に橋を架ける/キジ・ジョンスン

図書館で単行本の方を借りて読む。分厚い本をじっくり読みたいところだけど、まだまだ仕事が落ち着かないので、色々と賞を受賞している短篇集ならと手に取りました。ところがどっこい、読んでいて目がすべるすべる…。最後まで読んで、もう一度読み直して初め…

ユービック/フィリップ・K・ディック

ディック作品の中でも傑作と名高い「UBIK」。予知能力(プレコグ)、読心能力者(テレパス)、覗き屋(テイープ)、念力移動屋(パラキネテイスト)、死体蘇生屋(リサレクター)、物体賦活屋(アニメーター)とわんさか超能力者(しかも衣装が奇抜でキャラ…

去年を待ちながら/フィリップ・K・ディック

ハヤカワ文庫から新訳版が出たばかりですが、読んだのは創元SF文庫の方です。 2055年、リリスター星と同盟を結んだ地球は、リーグ星(昆虫タイプのエイリアン)との星間戦争に巻き込まれ、泥沼の戦争中(スターシップ・トゥルーパーズ的な?)。この苦境から地球…

宇宙の操り人形/フィリップ・K・ディック

時系列順に読んでいるディック作品ですが、これは古書店で見つけることができず、結局ネットでポチりました。珍しくちくま文庫から出ている初期の中編SF。ちょっと初期作品に戻ってみる。 子どもの頃に住んでいた山間の田舎町ミルゲイトへ行ってみたら、そこ…