本棚の隣で針仕事

雪国在住。積ん読本と図書館通い、 録画した映画、買いためた布や手芸用品をどうするかの記録。

タイタンのゲーム・プレーヤー/フィリップ・K・ディック

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ヴァグと呼ばれるタイタン星生物との戦いに敗れ、ヴァグに支配された地球人類。戦争により人口が激減し、さらに化学兵器の影響で極端に出生率が低下。一部の特権階級の人のみヴァグが持ち込んだ<ゲーム>で自分たちの土地を賭けたプレイに興じている…というSF。

<ゲーム>とはモノポリー+ポーカーみたいな双六。「オレのカリフォルニア州バークレーが奪われた!」と初っぱなでゲームの敗者となった主人公が、ゲームのリベンジ戦に持ち込んだら、突如ゲーム相手が誰かに殺されていた、そしてゲーム仲間の記憶がないとか急にミステリー仕立てに。とにかくコロコロ話が変わっていくので、まるで終着点が予想できません。というのも、当時浪費家の妻と幼い娘がいて、家計が火の車状態だったディックが、生活のために二束三文で書き殴った小説だからだそうで。そらしょうがないわな。

でも練りにねった大作や秀作もいいけれど、この「こっから先どーすんだ」小説も、ディックの場合はなんだかんだ云って力業で、最終的にはつじつまを合わせてくるので面白かったりする。あと惜しみなくつっこんでくるガジェットも楽しい。

今回は、ラシュモア効果という、人工知能で操作してくれておしゃべりする車とエレベーターが好きでした。

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翼を持つ少女 BISビブリオバトル部/山本弘

翼を持つ少女 BISビブリオバトル部

 

第3作目にあたる「世界が終わる前に」を読み終えた後に、娘が興味を持って1作目の「翼を持つ少女」を図書館で借りてきてくれました。「この『同人誌』って何?」「『BL』って何のこと?」など、おおぅと思わずかまえてしまう質問を私に投げかけながら凄い勢いで読む娘。なんでも登場人物が本や作者について熱く語るシーンはわけわかんなくて全部すっ飛ばしたそうです。まだ小学生だしね。でもこんな厚い熱い本を読めるようになったんだなぁと母はしみじみ。「お母さんが前に読んでた『ここはウィネトカならきみはジュディ』と『惑星カレスの魔女』が出てきたよー!どんな話なの?」と聞いてくれました。そこの本棚にあるから自分で読みたまへ。

さて本作はSF大好き空ちゃんがビブリアバトル部に入部して、初めての参戦、そしてリベンジ戦という流れのお話。空ちゃんのいじめを受けた過去のエピソードから、ネットウヨまでてんこ盛りの内容。山本氏の知識量すごっ、さすがト学会さんという感じでした。それぞれの登場人物が山本氏の分身に見える。「ビブリアバトルは楽しくなくちゃ」という結末に持っていけたのは良かったと思います。

武人君のお祖父様遺品のSF本オンリー書庫って、ホント羨ましい。自分も平均寿命に達するまでには書庫一つ分SF本を揃えてそうで怖いんですが、「本は人類発明史上最高のものであり、最悪の家具(by荒俣宏)」とはよく言ったもの。でも電子書籍は好きになれないんだよね。困ったな−。

 

 

 

世界が終わる前に BISビブリオバトル部/山本弘

世界が終わる前に BISビブリオバトル部

 

このたび市立図書館がはじめて「ビブリオバトル」を開催するようで、図書館入り口の目立つ本棚に参加者募集のチラシとビブリオバトル関連本を設置しているのですが、なぜ「BISビブリオバトル部」シリーズがそこにないんじゃぁぁ〜と不思議。
司書さんに聞いたら、参加者が集まらなくて〜と困っていました。私も読書会は参加経験があるけれど、ビブリオバトルはまだないので、今回は見学してみようかなと思っていたところ。この「BISビブリオバトル部」もずっと気になっていたけれど、さらに読みたい本が増えてしまうはずと中々手を出さないでいたのですが、この機会に読んでみようと借りました。なのにうっかり間違えて第3巻から借りちゃった…。
「翼を持つ少女」が第1巻でしたね、あらら(・_・;)

この「世界が終わる前に」は「空の夏休み」という番外篇から始まります。オタクの夏といえば夏コミの話。私も1度だけ南国から上京してきた友達の荷物持ちの手伝いとしてついて行ったことがありました。まさに異空間、あの時の衝撃を思い出しながら読んで、今はこんな状態になっているのかと驚き。もうあそこに突入できる体力と自信がない。

さて本篇「世界が終わる前に」には2回のビブリアバトルが登場し、発表の流れと雰囲気もなんとなく理解できました。自分の推しの本を5分以内でいかに上手に魅力を伝えられるか、これはプレゼンの勉強にもなるね。参考資料とか出せないのが難しそう。

表紙絵が激しいバトルっぽいんですが、内容はミステリー仕立てで 謎が多く伏線を至る処で張り巡らせながら進みます。主人公の空ちゃんは、「妖怪ウォッチ」のいなほちゃんに似ている。自分が高校生の頃はこんなにSF読めていたかなぁ。本屋で文庫を買いそろえるにはお小遣いが足りなかったし、図書館にはこんなに古今東西のSFが揃っていなかった。SFの裾野を広げるには、テレビ地上波の映画放送をもっと増やすのと、図書館の蔵書にかかっているような。でも今現在の世界がテクノロジーではユートピアになりつつも、政治的にはデストピアに向かっているようでSFみたいな状況ですけどね。

 巻末に登場人物達が読んだ本のリストが…また読みたい本が増えてしまった。

 

ゴッド・ガン/バリントン・J・ベイリー

ゴッド・ガン (ハヤカワ文庫SF)

ブログを読んでくださる皆様、あけましておめでとうございます。
はてなブログ4年目です。この半年間は本職の仕事が忙しすぎて、どうしても裁縫箱とミシンをだすのが億劫になり、針仕事は後回しで積ん読消化に専念していました。積ん読なんて老後の楽しみにとっておけばいいやと思っていましたが、これから老眼で文庫本がつらくなると聞き、今必死で読んでいます。今年もこのつたないブログを宜しくお願いいたします。

 

さて、本当はお正月にこたつでゴロゴロしたかったけど、年明けの仕事の準備に追われて合間合間に息抜きに読んだのが、この英国SF界最高の奇才ベイリーの10篇からなる短編集。

ハヤカワさんは「カエアンの聖衣」に続いて、日本オリジナル編集の短編集も出してくれました。だんだん変な話になっていくのを狙った構成です。表紙絵がかっこいい!このフォント好き。Twitter早川書房東京創元社をフォローしていたら、まあ興味のある本をどんどんツイートされるので、発売日(地方なので+一週間後)に本屋に飛んでいくという、見事に術中にはまっている。

まずはロンドン編
●「ゴッド・ガン」
表題作で、ある夏の夜に友人ロドリックと酒場で飲んでいたら、酔ったロドリックがうち明けてくれたのは、「実は神を殺す光線銃を開発しているんだ…」という話。マッドサイエンティストキター!この短編集は変人が多く出てきてくれて、ニヤニヤしてしまいました。ベイリーかなり頭いかれています。
命を吹き込む神がいなくなったら、世の中はそうなるのか…それはいやだな。

●「大きな音」

宇宙に届く音楽をオーケストラで!イギリスの荒野ででっかくどーん!そのアイデアが楽しい。

続いて船編
●「地底潜艦」●「空間の海に帆をかける船」
これも地底に潜っていく船、空間に潜っていく船というアイデアが面白かったです。なんでそんなことができるの?と冷静に考えると謎なんだけど、おかまいなしの力業で進めてくるよ。

●「死の船」●「災厄の船」
死の船は話がよくわからなかった…。災厄の船は、ファンタジー。親友マイケル・ムアコックの影響で、傲慢で孤高のエルフの王様の物語。昔、エルリック・サーガもよく読んだなあということで、エルフ王は天野義孝画をイメージ。

そして問題作揃いの異生物編

 ●「ロモー博士の島」
エロくてエロくて話についていけませんでした、ロモー博士!(カマトトぶってみる)

●「ブレイン・レース」
異星人と関わっちゃいけません!関わると脳髄掻き出されますという話。キモかったけど、構成が非常に上手くできている。

●「蟹は試してみなきゃいけない」
蟹達の思春期から青春期までの恋愛、悩みの物語。
蟹ですよ、蟹!
蟹が蟹の雌の体(生殖器)を想像して、妄想で興奮して泡吹いて倒れたりするんです。ここでもう一度、Bayleyかなり頭いかれてる!

●「邪悪の種子」
無限の住人(異星人)。最後に壮大な力作でした。

 ワンアイデアで突き進む短編は、どれも勢いがあって楽しめました。ベイリー再評価で今後「禅銃」も再版か復刊をしてくれないかな〜

 

ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリーRogue One: A Star Wars Story

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劇場で2D吹き替え版を娘と一緒に見る。

「ローグ・ワン」を見た後は、すっげぇぇー!と絶賛するか、なんか違う…と困惑するか、ドニーさんフォ〜!に分かれるかだそうですが、私は「ドニーさん」派です。

ドニー・イェンが「フォースと共にあらんことを」って言ってる!マジか!

殺陣があいかわらず神がかっていてすごすぎる!

なんかしらんけど薄い本が作れるくらいBL要素ぶっこんできた!

 というわけでド兄ぃド兄ぃとテンションMAXで、隣に座っていた娘からかなり白い目で見られました。スマンおたくな母ちゃんで…。

 

エピソード4が黒澤明の「隠し砦の三悪人」だったら、ローグ・ワンは「南総里見八犬伝(角川版)」だったなぁという印象。

ガンダムで言うと、本編がシャアとアムロニュータイプバトル(超絶すぎてファンタジー)なら、こちらは「ポケットの中の戦争」みたいな、名も無き戦士達の泥臭い物語。後味が悪い感じも似ています。でもフォースなんてなくて、実力とただ運が良いだけでここまで生き延びてきた普通の戦士が本当はたくさんいて、そして反乱軍を支えてきたんだなと思えることができて、この「ローグ・ワン」のお陰でスター・ウォーズがより骨太なスペースオペラになった気がします。

ホント、アナキンの物語のジャー・ジャー・ビンクス って何だったんだろう…。すっころんで、転がった爆弾が敵に当たってラッキーとか、もう辛くて見てらんない。

スター・ウォーズを映画館で観ると、オープニングのファンファーレとタイトルのところで、条件反射的にブワッと涙ぐんでしまうのですが、今回はラストカットであの方が登場して、涙腺崩壊しました。銀幕の中で永遠に不滅なんだね!

観に行く前に、このガンダムの曲「哀戦士」がぴったりと合うというのを、Twitterで観てしまったため、劇場でもずっと脳内再生してしまいました。確かに合う。


『ローグ・ワン ~哀 戦士編~』